2009年 5月 31日 (日)
当寺 開基、上田日生上人 その2
祖父、日生上人が、もう一つ口癖のように話されていたことがあります。それは、師匠からお休みと道中の交通費プラスお小遣いをいただき、里帰りを許された時のことで、修行中の神戸のお寺から列車と船を乗り継ぎ、自坊(実家の寺)に帰ったときの話です。お寺に帰るなり、武士であった大変厳しい父親から、道中で使ったお金と、師匠から戴いたお金の差額を問いただされ、「船に乗るときに余りにお腹が空いたのでうどんを食べた。」と答えたそうです。すると「修行中のお前が、師匠から戴いたお金をそんな無駄使いするとは。」と、たいへんなお叱りを受け、そのままカバンもおかず、乗ってきた船でそのまま神戸に引き返したそうです。母親は、ただただ門のところで泣いていたそうです。祖父は「あんな厳しい父親のもとより師匠の元で頭にたんこぶをつくってでも、毎日、法華経をあげ修行している方がいい。」と思ったそうです。今の時代には考えられないことですが、その厳しさが立派な人間を育んだのでしょう。
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