2018年 9月 8日 (土)
人の技を盗め
就職した時に現場の先輩にお前達には、いちいちは、教えないから、わしらのしていることを、よく見て盗み取れと。言われました。研磨機から30分に100〜200個ぐらい作り出されるステアリングを、マイクロメーターで、一つずつ検査をしていきます。しかし、これがけっこう手間になります。そこで、役に立つのが自分の指先、指先のわずかな感覚で合否が分かるのです。熟練したら、ほんのちょっとの違いで、品物の仕上がりの精密度の違いが分かります。事実私の指先はかなり優秀な感覚を持っていたようでめったに、返品はなかったようです。もし不良品があれば、私のグループのその日生産されたそれを全品検査となります。みんなに迷惑を掛けれず相当神経を使って仕上げた記憶があります。ときどき、先輩の方が回ってきて抜き打ち検査をして、中々いい出来だね。と言ってくれました。厳しい言葉の方もいましたが、いい先輩の方々に恵まれてよかったと思い起こします。また、丁寧にこのできは研磨機の砥石の取り付け角度を考えて、出来上がりの面を見て砥石のとぎ直しか、回転数の違いを見てみろと、それをしっかり頭に入れろといってくれました。その後その作業方法をしっかり見せてくれました。
以後不良品はなかったと覚えています。このとき、人間の五感は素晴らしいと、変な感動をしたことを覚えています。
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