2010年 8月 12日 (木)
吾れ唯足ることを知る
お茶室に入るその手前に「つくばい」と云う、丸い石でできた水を溜めたものがあります。これは、茶室に入る前のエチケットで、その水で手を洗い、口をすすぐ為のものです。神社などで、本殿に入る前(本鳥居をくぐるまえ)に手を洗い口をすすぐのと同じようなものかもしれません。云えば心身を清めるようなものと思います。その「つくばい」の真中が真四角切り掘られていて、その四方に文字が彫られているものを目にした事があるかもしれません。残念ながら私は、お茶に縁がなくいまだに見たことがありません。その文字とは、四角の上に漢数字の五、右手に隹(ふるとり)、下に足の口が無い文字、左に矢の字があります。四角を(口 くち)を中心に『吾・唯・足・知』と読めます。これを読み下すと『吾れ、唯、足ることを、知る』で、自分で厳しさを以って、分相応の自分の器を知り、背伸びをせず、その中で努力すると自分の器は次第に大きくなって来ます。そうすると、回りの人がおのずと自分の事を認めてくれるようになります。世の中で自分の才能を誰も認めてくれないと投げやりになる時がありますが、この言葉を思い出してみて下さい。
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